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【書評】カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

初めに


ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書 大賞2019

の技術書部門10に選ばれた本書に興味をもったきっかけは、評判が良いからというのはもちろんですが、「カイゼン・ジャーニー」というタイトルでした。私自身、今の現場に漠然とした不安を持っており、自分がもっと成長できる環境が別にあるのではないのかという思いと、今の現場や働き方を改善することで、さらに成長できる環境にできるのではないかという思いで葛藤していました。そこで、まずは自分の今の環境を「カイゼン」するにはどんなことをすればよいのかを考えるヒントになるのではないかと思い、本書を手に取りました。

本書のターゲット


本書のターゲットは、ソフトウェア開発の現場を経験したことのある若手から中堅、またリーダー経験のある人です。さらには現在の現場でのプロジェクトが炎上していたり、今の環境がこれ以上成長できる環境ではないと感じている人にはとても刺さる内容だと思います。

本書の構成


ソフトウェア開発の現場を経験したことがある人であれば、共感できるストーリーを中心に書かれており、主人公である江島の、苦悩や努力、さまざまな経験を追体験できるような内容になっています。その中で、チームの状況に合ったアジャイル開発のプラクティスの解説があり、「カイゼン」のヒントがちりばめられています。

第1部 一人から始める

第2部 チームで強くなる

第3部 みんなを巻き込む

本書で紹介されるプラクティス


本書では、アジャイルやチームビルディングのプラクティスがたくさん紹介されています。ただし、そのプラクティス自体の詳細な説明が書いてあるというよりは、さまざまな状況に合わせて、実施する意味や効果が分かるように書いてあります。

このようなプラクティスは、確実に成功するような「正解」は存在しません。プロジェクトの状況や、メンバーの能力や性格まで、1つとして同じ状況の現場は存在しないので、プラクティスの目的をしっかり理解しながら、状況に合わせて臨機応変にやり方は変化させていく必要あるためです。

本書は、共感しやすいストーリーによって、プロジェクトの状況を読者が理解したうえで、今の登場人物の状況に合ったプラクティスの目的とやり方を紹介しているので、そのプラクティスが、どんな時に、どんな効果があるものなのかが理解しやすくなっています。

その結果、現実の自分の状況に合わせてプラクティスを実施するための考え方が身につくと思います。

【越境】


本書のサブタイトルにもある「越境」は大切なキーワードだと思います。

だれでも自分の想像外の場所に足を踏み入れることは勇気が必要です。新しい分野の勉強をしたり、さらには、なにかしら新しい趣味を始めることですら、なかなか行動に移すことが難しいです。

大事なのは、「なぜ越境するのか?」を常にしっかりと考え、目的を持って、自分の想像を「越境」してみる。そして周りの人を巻き込んでさらに「越境」する。そのサイクルを繰り返していくと、仲間と、一人ではできないような大きなカイゼンを実現できるでしょう。これが「カイゼン・ジャーニー」です。

タイミングが「遅すぎる」ということはないです。「気づいて動く時が、その人にとっての最速」です。

 

これからの行動


まずは、1人で「越境」してみます。

現状を整理して見える化してみる。次に、外部の勉強会やTwitterなどを使って、社外の人と交流してみて、いろいろ新しい考えや価値観に触れてみる。そのうえで、しっかりと目的を持ち、本書で紹介されたプラクティスを使って「越境」してみる。

そして、

「あなたは何をしている人なんですか?」

「あなたの目指す先はどこですか?」

という問いに、自信をもって答えられるようになる。

ワクワクしてきました!

終わりに


本書は、私にとって、アジャイル開発の技術書という面と、今後のエンジニアとしての人生の「改善の旅」の第一歩を踏み出すための自己啓発と、2つの面を持つ大切な本になりました。

読んだだけでなく、実践しないと意味はないので、今後私がどんな【越境】を実践したかは別途発信していけたらと思います。