【書評】ゼロから学べる! ファシリテーション超技術
良いファシリテーターになるための第一歩に
ファシリは最強のビジネススキル
私はITエンジニアとして仕事をしているのですが、毎日のようにチームで問題解決方法を話し合う会議や、新しいアイデアを考える会議があります。私自身リーダーという立場ではないものの、自主的にファシリテーターを何度も行いました。
その中で学んだのは、ほとんどの会議は、「ファシリテーター次第で上手くいくかが決まる」ということです。
本書は、ファシリテーションの基本的な技術や心構えが書いており、良いファシリテーターになるための最初の一歩としては最適な本だと思います。
本書のターゲット
- 会議が時間内に終わらなかったり結論が出ずに悩んだことがある人
- プロジェクトリーダー初心者
- 将来リーダーになりたい人
- 問題解決を通してよりよい仕事をしたい若手
本書の構成
第1章 会議にはファシリテーターが不可欠
第3章 ファシリテーターが知っておくべき議論の進め方と問題解決のステップ
第4章 会議中にメンバーの意見を引き出すためには
第5章 メンバーの意見を引き出しさらに整理する
第6章 合意形成の仕方
第7章 会議中の雰囲気づくりとファシリテーターの心構え
第8章 オンライン会議でのファシリテーション術
良い会議とは
まずは良い会議の定義を知ることが第一歩です。本書には以下のように定義しています。
- 時間厳守
- 決まる・まとまる(アウトプットの質)
- 参加者の納得度が高い
この中で特に重要なのは「参加者の納得度」です。
多数決や、ファシリテーターの独断による決定では納得度の低いメンバーが出てきてしまい、今後のモチベーションを下げてしまいます。
必ずしも正解の結論を出せばよいのではなく、全員の意見をしっかりと聞いたうえで、納得できる結論を出すことが重要です。
ファシリテーターに求められること
本書は、ファシリテーターに求められることとして、以下の3つを定義しています。
- 会議をデザイン(設計)できるか
- 会議をリードできるか
- "場づくり"をできるか
意外なことに、ファシリテーターは、上手な話術や強いリーダーシップよりも、事前の準備や雰囲気づくりが重要なんです。
特に、テーマについてのアジェンダ(会議の進行表)を作ることが重要な役割になります。どのような順番で、どのように議論して、どうすれば参加者全員が納得できるかを事前に設計することが、会議の成否が決まってきます。
「いい問い」を用意して意見を引き出す
会議中に「意見が出ない」ことはよくあります。
その原因の一つとして、「問い」が良くないことが挙げられます。
本書では「いい問い」の条件として以下を上げています。
- みんなが付箋を3枚以上さらさら書けるかどうか
- 問いの中に問いが含まれない
- 分かりやすく、かつ、シンプルに
ここで学んだことは、「問い」の抽象度のコントロールです。
例えば、「会議で困っていることを教えてください」は抽象度が高く、「経営会議の進行部分で課題と思っていることを教えてください」は抽象度が低い問いです。
どちらが「いい問い」ということではなく、「どちらの方が、よりテーマに合った意見を拾えるか」を考えて、問いの設計をする必要があります。
最後に
本書にも書いてある通り、ファシリテーションは「実践」あるのみです。多少失敗してもいいのでどんどん挑戦していこうと思います。
そのうえで、本書の基本的なファシリテーションの技術を頭に入れておくと、どこが上手くいって、どこが上手くいかなかったのかを理解することができるので、次の実践に生きていくと思います。
また、本書には、コロナ禍で増えたオンライン会議のファシリテーション術についても書いてあります。まずはファシリテーションの基礎ができていることが前提ですが、参考になりました。