【書評】シリコンバレー式 最強の育て方 ― 人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―
初めに
私は現在、1on1ミーティングを2人の部下とそれぞれ週一回、30分間行っています。また、私自身も上司に1o1ミーティングをしてもらっています。いままで何人かの上司に1on1ミーティングをしてもらっていますが、成長を助けてくれるような充実した1on1ミーティングをしてくれた上司もいれば、そうでもない上司もいました。
私自身も、素晴らしい上司の真似をしながら試行錯誤して部下との1on1を行っていますが、本当に部下にとって有意義な時間になっているのか不安になる時期がありました。そんな時に、そもそも1on1の目的ってなんだっけ?具体的にどのような会話をすればいんだっけという基礎知識をしっかり学ぶためにこの本を読んでみましたので、感想を書きます。
なぜ1on1ミーティングが大事なのか
あなたは部下とコミュニケーションをとっていますか?業務に焦点を当てた「仕事の話」はしていると思います。これはコミュニケーションというより「結果を出すための情報交換」に過ぎません。「仕事の話」は、短期的な結果をもたらすには重要なコミュニケーションですが、一方で、継続的な結果をもたらすには、信頼関係を築いたり、部下の不安の解消や心身状態の確認など、部下自身に焦点を当てたコミュニケーションが重要です。このような個人に焦点を当てた「対話」をする場として1on1ミーティングが存在します。
また、私のいるIT業界だと、転職してキャリアアップしていくのが当たり前だったり、残業が多くなる時期があったり、新しい技術を学び続けないと取り残されてしまうような業界なので、キャリアに悩んだり、自分がこの仕事に向いているか悩んでいるような人はたくさんいます。そのような人に対して、常に状況を把握してあげて、事前に対策をしていくことで、個人の成長を助けたり、メンタルのフォローをすることができます。
1on1ミーティングで何を実現するのか
この本では1on1ミーティングを行う8つのメリットをあげています。
- 上司と部下の間に揺るぎのない信頼関係が生まれる
- 心身が不調で休職になるところだった部下が、早期の対策で生き生きと働きだす
- やる気のなかった部下が自発的に働くようになる
- 評価査定の後、不機嫌になる部下がいなくなる
- 仕事に飽きてきた優秀な上位2割が、再び情熱を持って業務にチャレンジを始める
- 「後手の対応」から「先手の対策」へと人材マネジメントが変わる
- 部下からの「ちょっといいですか?」のミーティング時間が本当に「ちょっと」になる
- 「ビックリ退職」がなくなる
この中で私が1on1ミーティングをやっていて、特に感じているメリットは1の「上司と部下の間に揺るぎのない信頼関係が生まれる」です。これが一番大切だと思っており、信頼関係があれば、たとえミスをして叱られても自分の成長を願ってのことだと思えますし、キャリアの相談や、プライベートの悩みも相談できます。
私も信頼できる上司に出合って、成長できたと思っているので、部下にとっての私もそのような存在になれるように頑張っていきたいと思っています。
1on1ミーティングで何を話すのか
「1on1実践マップ」をイメージして、その時に話したいテーマを選択しながら話します。
1⃣信頼関係づくりステージ ※毎回すべて実施
①プライベートの相互理解
②心身の健康チェック
③モチベーションアップ
2⃣成長支援ステージ ※状況によりどれか実施
④業務・組織課題改善
⑤目標設定/評価
⑥能力開発/キャリア支援
⑦戦略・方針の伝達
今回この本を読んで私が一番参考になったのはこの部分です。実際に毎週1on1ミーティングをやっていると、話す内容や質問が思いつかなかったり、雑談が多くなってしまったりする悩みがあったのですが、この「1on1実践マップ」をイメージしながら話すことで今までよりも有意義な時間になりそうです。
1on1ミーティングを始めてみよう
私はすでに1on1ミーティングをはじめているので、この章で私が印象に残っているのは、「1on1を継続させるポイント」に書いてあった、「5勝5敗で良いと思え」です。私も毎回の1on1ミーティングを充実したものにしたいと思ってしまって、疲れてしまったり、過度に反省していたりしました。ただ、それだとストレスが溜まってしまい、続けるのが難しくなってきてしまいます。うまくいかない時があってもいいからもう少し長い目で効果が出ていることを見るようにすれば、もっと気楽に楽しくできると思いました。
終わりに
この本は、1on1ミーティングを始めるにあたっての基本的な知識から、具体的な質問の例やテクニックが書いてあり、自分の1on1が上手くいっているかを振り返る際に、なんども読み返すであろう本になりました。
1on1ミーティングは、生産性が高く各メンバーが自走できるチーム作りをする上では、とても効果的だと思うので、これからも試行錯誤してさらによい1on1ミーティングができるようになりたいと思います。