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【書評】フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術

初めに

私は毎週2人の若手と1on1面談を行っており、若手の不安を取り除いたり、成長を助けられるように意識してしていますが、若手の仕事内容や考え方に対して的確なフィードバックができていないという悩みがありました。そこで、そもそもフィードバックとは何か? どんなことを意識すればよいのかを知りたいと思い、この本を読んでみました。

フィードバックとは

フィードバック=ティーチング+コーチン

相手のパフォーマンス等に対して情報や結果をきちんと通知する「ティーチング」と今後の行動計画を立てる支援を行う「コーチン」の2つの働きかけを通して、部下の成長を促進することがフィードバックです。相手に問いかけて相手に自分で解決方法を気づかせる「コーチング」ばかりに気を取られていると、そもそも知識不足や経験不足の相手には、どんなに解決方法を引き出そうとしても答えは返ってきません。その時に適切な情報を伝える「ティーチング」も重要になってきます。

近年、1on1面談などの部下育成技術で、「コーチング」の重要さをよく耳にし、「ティーチング」が軽視されるような間違った認識がありましたが、これら2つを組み合わせることが重要であることを教えてくれます。

「経験軸」と「ピープル軸」で考える

  • 「経験軸」⇒現場での業務経験によって成長する
  • 「ピープル軸」⇒職場の人たちから、さまざまな関わりを得られた時に成長する

コーチングによる育成を行うときは、上記の軸をしっかりと押さえる必要があります。

「経験軸」で考える際に重要なのは、「現在の能力でできる業務」のレベルよりも、少し高めの業務を任せていくことが重要です。これは私も最近意識しており、後輩にタスクを振るときに、後輩が経験のない業務をなるべく振るようにしています。もちろん、いつでもサポートできるようにしておく必要があります。

「ピープル軸」で考える際は、「人と人の関わりの量」や「人間関係の質」を向上することで、様々な気づきや学びを得て、成長するきっかけを作ることが重要です。私も普段の雑談や1o1面談なので、ポジティブで楽しい話をしたり、メンタルのケアをしたりすることで、お互いの人となりを理解できるような意識をしています。

フィードバックのプロセス

さあ、実際にフィードバックしてみましょう。フィードバックのプロセスは以下になります。

【事前】・・・・情報収集

【フィードバック】

  1.  信頼感の確保
  2. 事実通知:鏡のように情報を通知する
  3. 問題行動の腹落とし:対話を通して現状と目標のギャップを意識化させる
  4. 振り返り支援:振り返りによる真因探求、未来の行動計画づくり
  5. 期待値通知:自己効力感を高めて、コミットさせる

【事後】・・・・フォローアップ

ここで重要なのが、事前事後を含めてのフィードバックということです。

できるだけ具体的に事実を指摘するために事前の情報収集で「SBI情報」を用意することが大切です。

  • SBI情報

S=シチュエーション

 ⇒どのような状況で、どんな状況のときに・・・

B=ビヘイビア

 ⇒部下のどんな振る舞い・行動が・・・

I=インパク

 ⇒どんな影響をもたらしたのか。何がだめだったのか

私はこのSBI情報の収集が足りずに、論理的で具体的に事実を通知できていので、お互いに納得感のある解決策を見つけられなかったり、課題が解決しないまま時だけが過ぎていってしまったりすることがあったことに気づかされました。

終わりに

フィードバックは、相手の成長を願い、相手の意志をリスペクトした上で行う必要があります。また、相手の性格や将来どうなりたいかをしっかり見極めて行う必要があります。この本はそれを大前提として、耳の痛いことをしっかりと論理的に伝えることで、相手の成長を助けられることを教えてくれます。部下のタイプ別の具体的なフィードバックのテクニックも書いてあるので、実際に現在育成で悩んでいる人が読むとなにかしらのヒントを得られると思います。

私もこれを機に、状況を見極めて、効果的なフィードバックができるように、とにかく実践して場数を踏んでいこうと思います。